親会社との円滑な関係を維持する事は社長の重要な仕事です。私は不得意だと自覚していますが、せめて函館来訪の折には、十分なおもてなしができるように、函館観光検定の資格を取得しました。

 明治スポーツプラザの社長を退任した後、8ヶ月間、明治本社のグループ企画部で専任部長をしていました。旧明治乳業の知り合いもできましたので、あえて旧明治乳業の役員、部長に会社来訪を強くお願いしました。

K社長との面談

 11月30日、東陽町に定年の挨拶に伺いました。あいにく、S部長不在で、人事のT部長と一緒に明治のK社長にお目に掛かりました。はじめに感謝状をいただきました。「この感謝状は、あなたにではなく、支えてくれたご家族への感謝状です」と笑いながらおっしゃいました。雑談にも応じていただきました。六花亭さんの話、新千歳のみやげものの話、サイコロキャラメルの話になりました。

函館検定

 前任のO社長は勉強家で商工会議所主催、「函館観光検定」の資格を持っていました。私も受験したい旨、質問したところO社長から「なめてかかると落ちます」とのアドバイスがありました。真剣に1ヶ月勉強しました。記憶力が減退してきているので、あちこち実際に観光しながら歴史や見どころを覚えていきました。2014年11月に受験、12月初旬に93点の合格通知が届きました。全従業員に受験することを伝えていましたので、不合格という結果ではカッコがつかないと必死でした。函館には明治の方々をはじめ、たくさんのお客様が訪れます。訪問者の興味に従って案内できるようになったのはこの検定のおかげです。観光だけでなく、方言、函館題材の映画の内容、交通手段、歴史、街路樹の名前まで、多岐にわたっています。市場調査も兼ねて函館観光案内の機会が多く、知っているのと知らないのでは「おもてなし」のレベルが違ってきます。

監査

 監査は、会社を良くします、要点は、事前準備にあります。過去の指摘事項が、改善されているのは当然ですが、他社の事例で改善しておくことも大事です。監査で全てをチェックできるわけではないので、監査結果が良くても実態が良いとはかぎりません。まして指摘事項は重大です。同様の瑕疵が裏に多数あると思います。

 道南食品には監査をうまくすり抜ければそれで良いという風潮がありました。監査は会社を良くするための大事なシステムであることを再認識させる必要がありました。たくさんの時間と費用を使って監査してくれる明治に深く感謝しています。幸いに、安全監査、品質監査、業務監査、監査役監査、FSSC継続審査、環境審査など、いずれも重大な指摘事項はありませんでした。審査に要する時間やコストは会社存続のための投資だと考えて取り組みました。

監査部業務監査「概況説明」発表原稿

 本日は、道南食品本社及び札幌営業所に業務監査においでいただき、ありがとうございます。監査部の皆さまの忌憚ない意見をいただき、改善すべき点は直ちに改善し会社がよくなるようにしたいと考えております。「悪いことはすぐやめる、良い事はすぐやる」のが私の経営ポリシーですので、よろしくお願いいたします。

…私はこの会社存続のために、一年半前、赴任しました。赴任に際して、「道南食品を存続させるため、親会社の厚い庇護がなくても会社が成り立つようにしてほしい」との要請がありました。具体的には明治のキャラメル終売、チョコレート原資の大幅縮小を示されました。よって固定費の削減、自社品及びOEM品の大幅な売上増が必須であることが自明でした。先般の関連社閉鎖の話は事前に聞いており、次は道南になる可能性があるので、そうならないように、とのことでした。ですから、はじめから新しい会社をつくるつもりで経営に取り組みました。一年半して、ようやく会社が自分の手足のように、痛みを我が事のように、感じられるようになりました。