はじめに

 函館の仕事を語ります。ミッションは「会社存続」でしたが、計画的に進めたわけではありません。「良いことはすぐヤル、悪いことはすぐヤメル」シンプルな行動原理で経営してみました。

函館市 昭和57年

辞令

 2014年2月初旬、グループ企画部 S部長より、道南食品、社長の内命をいただきました。青天の霹靂でした。すでに59歳、定年の日が迫っており、次は何をしようか思案の最中でした。

 K企画管理部長より「道南食品は東日本大震災以来、業績が低迷している、単なる業績回復だけでなく、将来に渡って存続できるように立て直してほしい」と言われました。「石原さんは易しいミッションでは満足できないでしょう」との追加の言葉もありました。

 赴任早々、2014年度の予算を見て驚きました。何と億に近い赤字予算です。赤字を目的に会社を運営することはできません。驚いたことに赤字予算であることを知っている従業員は、ほんの数人でした。

 私は、2004年から2013年まで明治スポーツプラザの社長でした。その経験を生かして経営改善するしかないと考えました。2014年4月1日、改革の意欲に燃えて赴任。全従業員を前に、就任の挨拶で3年で社長をやめることを、あえて宣言しました。業績不振の事実を伝え、改革への協力をお願いしました。従業員は頷きもせず、笑顔もなく、私の熱弁?を他人事のように聞いていました。

 赴任前に「会社内では作業着を着用のこと、時には土曜日も工場内を巡回すること」とK部長より厳命されていました。はじめは意味がわかりませんでしたが、後になって、正しいアドバイスである事がよく分かりました。現場の人が話しやすいように作業着を着るべきだし、現場の苦労を体感することはとても大切です。

 4月1日付で大野前社長が東海ナッツの社長として赴任しましたので引き継ぎは3月の数日だけで慌ただしいものでした。札幌と函館の主な客先と顧問税理士を紹介していただきました。